レース当日、4:30前に起床。よかった、今日も発熱はしておらず体調は良さそうだ。朝食でフルグラ(以下略)。
外は結構強く雨が降っていたがレース前には上がって快晴となっていた。いつも練習前のルーティンとして行っているプレエクササイズを行い、準備万端でスタート10分前に整列。
instagram @makotoayano
以下のレース中の写真は全てcyclowired編集長の綾野さんより使用許可を得ています。いつもありがとうございます。
深呼吸して精神を落ち着けた。レースに入る前に使用機材や、注意していたライバル選手についても述べておこう。
2025使用機材
* フレーム:S-works tarmac SL8 project black
* コンポ: Dura Ace 9170(11速) ブレーキのみ9200系
* ハンドル: Roval Rapide cockpit 115×380mm
* サドル:Fizik VENTO ARGO 00 Adaptive(140mm)
* ペダル: Assioma pro RS-2
* クランク: Dura Ace 9100 165mm(pionnerペダリングモニター付き)
* チェーンリング: 54-42
* ウェア: SUNVOLT
* ヘルメット: Specialized EVADE3
* シューズ: シマノrc901
コメント:
2023年から乗り始めて以降、このSL8は非常に乗りやすくて何も不満がなく非常に気に入っている。これまで乗った中で間違いなく最高のバイク。基本的には2023年から大きな変更はない。コンポも特に不満は感じていないので未だに9170のままであるが、次のモデルチェンジで13速になるなら変更も検討するかもしれない。
クランク長は昨年の夏頃から165mmに変更して上手くいっている。去年流行に乗って170から短くしていい感触だったので、もっと短くしたらさらに良くなるんちゃうかと思って夏頃に160mmに変更してみた。これも好感触だったので実はおきなわ1週間前の鈴鹿エンデューロまでずっと使用しておりこのまま本番までいくつもりだったのだが、前述の10月後半の不調も重なり迷い始め、今シーズンベストを出したのがほぼローラーについてる165mmだったのもあって直前に散々迷った挙句、鈴鹿翌日に165mmに戻した。まあたぶん、160でも170でも実際にはほとんどパフォーマンス自体は変わらない気がするから来年また160にトライするんじゃないかと思う。
サドルはしばらくアリエクで買ったエセpower mirror 3Dプリントサドルを使っていたのだが、夏頃にたまたま気になっていたポガチャルと同じサドルが某フリマサイトで安く出品されているのを見つけ、衝動買いしてみたら結構よかったのでそのまま使っている。なお、シートクランプは昔ボントレガーのサドルを使っていた頃に作成した、太いレールに合わせるように切削したものを使ったている(フィジークもスペシャに比べて少し太い)。前乗りなので、今年念願のゼロオフセットシートポストを入手して使用している。
シューズはシマノ現行モデルから2世代前のrc901を使用している。実はrc902も903も中古で入手して試したことがあるのたが、どうも902になった時にラストが変更されたらしく微妙に合わなくなり、履いた直後から少し違和感がある上にしばらく乗ってると足に痛みが出てくるのでこれはダメだと判断してすぐに売った。ちなみに夏頃に、ユンボが使ってるnimblのシューズも格安で見つけて興味があったので買って試してみたが、これはクリート位置の調整幅が狭くてポジションが出せない(踵寄りにいかない)上にやはり乗ってみたらすぐに痛みが出て来たのですぐに売った。自分にとっては初代900か901が合っており、今のところ901の41wideが最高である。シューズは重量などより、いかに自分の足型に合っていて、ロングライドでも痛みが出ずに快適に走れるかが最も重視すべき点であると考えている。
ペダルは交換する気はなかったが、夏頃にAssioma(lookタイプ)が故障したため結局、最新のシマノタイプに買い替えた。ちなみにイタリアの本社とやり取りしたが、メールが返信されてくるのがめちゃくちゃ遅く、1回やりとりするのに1週間以上を要したのでAssioma使用者は注意されたし。レースではDuraペダルにしとこうかとも思ったが重量もそんな変わらんし結局そのままレースに使用した。
注意していたライバル:
高岡さん(以上)
コメント:
もちろん今年活躍していた石井君や大前君など、明らかに自分より強い若手や、仙人(田中裕二)や加藤君といったクライマー勢にも注目していたが、若手は一緒に走ったこともないしよくわからない。このおきなわのレースはこれまで経験上、100km以下のレースで自分では到底及ばないような強い選手でも何故か距離と暑さにやられてか脱落していくパターンを多く見てきたので実際に走ってみないとわからないと思っていた。まあ結果的にはめちゃくちゃ強かったわけだが。
いち高岡ファンである私は、彼のこの10年以上に渡るおきなわ前のコンディショニングや言動なども把握しており、その傾向から今年は良さそうだと感じていた。50歳も近くなっているというのに俄かに信じ難いことではあるが。このレースを何度も勝ってきた経験、レース戦略、独走力や展開を読み利用する力、コーナーや下りのテクニック。フィジカルの多少の衰えは差し引いたとしてもどれも自分より格上であることは間違いない。直前の世界選手権でも惜しい2位になっており、明らかにコンディションは良そうで、疑いようもなく最も注意すべきライバルである。
さて、レースに戻ろう。
序盤は特に大きなトラブルもなく進む。数人逃げているよう。タイム差がわからず、特に危険な逃げではないと考えられたのもあってかかなりスローペース。あんまり逃げと差が空くのも嫌だなぁと思いつつ、ほとんどポタリングペースで1回目の普久川ダムへの登りへ。この登りへの入り口は晴天でもかなりスリップしやすく、特に今日は雨上がりである。自分も昔、練習で後輪が滑って危うかったことを2度経験しているので注意すべき箇所として認識していた。少し前の選手達のコーナーの侵入角度とスピードが怪しげだなあと思って、前とのマージンをとっておいたら案の定落車が発生してマツケンさん含む数人が巻き込まれていた。大腿骨を骨折された方もいると聞いており、辛い経験になったと思うが回復を祈っております。今年は妻と子供達が補給に向かってくれたのでここで会えるのを一つの楽しみにしていた。先述の通り週初めに子供と妻がインフルエンザに罹患して、妻はインフルエンザ自体は一旦軽快したものの体調不良が続いてまた発熱していたのだが、この日それを押しても補給所へ向かってくれた。本当に感謝しかない。無事妻と子供を見つけて補給を受け取り、声援をもらって奥への下りへ。
割とすぐに石井選手含む10人ちょいの逃げができて後ろと少し離れていた。そしてグループ内にRXの赤いウェアは見当たらない。これはええやんと思って逃げようとしたものの、足並みが揃わず早々に追いつかれた。正直、あの千載一遇の好機にローテに入ることを躊躇って後ろにつこうと考える奴は一体何をしにここに来たのか全く分からない。この後も石井選手と抜け出したこともあったが流石に容認される訳もなく追いつかれて集団で奥の登りをこなす。
実は石井選手のことは大阪の近場で練習していながらほとんど話したことはなくよく知らなかったのだが、この奥らへんで自分が変速でちょっとジャラついてスピードが落ちた際に、後ろからそっと支えて押してくれたので「お、こいつめっちゃいい奴やんけ」となりレース中に好感度が爆上がりした。若手ながらレース中のライバルにも関わらずこういうことができるのは素晴らしく私も見習いたいものである。
奥を抜けて西海岸へ。ここで高岡さん含んだ数人が抜け出してるのが見えたので2022年のあの高岡さんの逃げへと繋がった展開がフラッシュバックし、これはあかんとブリッジ。割と良さそうなグループだったがまあこれも当然追ってきて再び集団で普久川の登りへ。
2本目はまたトップクライマー勢によるハイペースを期待したものの特にアクションもなく、名岐ベンドの選手がいいペースで淡々と走ってくれるので後ろで走らせてもらって頂上まで。2回目も妻と子供達から補給ボトルを受け取っていよいよ学校坂方面へ。
集団前方でここも安全を優先させて慎重に下る。先頭付近で走っていると思われる高岡さんはやはり速く、下り切ったところではやや差が開いているが問題ないレベル。
登りが始まる前には追いついていよいよ学校坂へ。
何となく今日は脚がイマイチなのではないかという気もしていたが、これまで比較的スローペースで特にキツいと感じた場面もなかったので他の人も余力があるのではないかと思われる。まだ集団の人数はかなり多いと思われるのでここで上げて絞り込んでいかねばならない。
登り始めでは前が空かず渋滞してしまったが、間を縫って先頭に出て、サドルから腰を上げて私のツールドおきなわを開幕させた。
後ろは見ずに自分に集中し上げていくとほとんどついてきてない雰囲気。登り終盤で垂れてきたのでやはり今日はイマイチなのかと思いつつ、ついてきた1人(岩間選手)は強いはずなので彼とこのまま逃げをはかる。しかし彼ももうあまり脚がなくなったようで、とりあえずつきいちでいいのでついてきてくれと話して踏んでいくが結局千切れて単独になった模様。集団が細切れになって、強い奴だけがついてきてくれるか、または千切れて集団がまとまるまでに時間がかかり差が開いていくことを期待したが、後ろを振り返ると比較的まとまっていそうな集団が確認でき差は20秒程度か。これはあまり好ましくない雰囲気。
そして自分もやはりあまり脚がなくてパワーダウンしてくる感覚がありエアロフォームで踏んでいくがアップダウンの登りであまりパワーが出ず、後方を確認すると差は開いていない模様。
これは厳しいかと思いつつ淡々と走り続けるもののやはり徐々に集団との差が詰まってきてどう考えても追いつかれると思われたので諦めて集団と合流することを選択。まあそれなりに集団の人数は減ったようだ。
集団からは古谷君や湾岸の選手が抜け出したりでなかなか強い。自分もそれにブリッジして集団に追わせ、徐々に脚が削られていくのを期待する。
そしてやはり高岡さんがいつもの飛び出しを見せたかと思えば、今度は大前君が出てきたりなど、なかなか休む暇を与えてくれない。
これまでRXはチームとして何人か出場しつつも高岡さんの力が飛び抜けており、それをサポートできる力を持った選手はいなかったため少なくともおきなわ市民200でチームとして機能していたことはなかったと思うが、ここにきて大前君という高岡さんと同等またはそれ以上の力を持った選手が加わったことで初めてチームとして機能していた。代わる代わるアタックされることで自分の脚も地味に削られていった可能性が高い。それならもっと大人しくしておけばいいじゃないかというところだが、それは積極的に動いて攻めの走りをするという私の信条に反するので今後もそうすることはないだろう。これは私が高岡さんをリスペクトしていることの一つだ。これまで一緒に走ったどのレースでも、自分から攻めてレースを動かしていこうという走りを常にしていた。集団内で大人しくして無駄な動きはせず力を温存し、最後だけちょい差しして勝つというのは立派なロードレースの戦略であり、WTのレースでプロのスプリンターがそう走るのは当然なのであるが、アマチュアのロードレースでそれをする選手は何故か私は好きになれない。まあ好みの問題です。そうこうしているうちに東村を超えて慶佐次の登りへ。ここは比較的短めの登りが2つあり、2つ目の方が地味に長い。私はやはりちょっとキツくて1つ目はやり過ごし、2本目後半で少し上げてみるが集団が離れるようなキレはもうない。正直、けっこうヘバっていてマズい。
終盤の勝負所の一つである有銘の坂へ。
麓から上げていこうとするがもう全くキレはない。仙人の後ろでしばらくやり過ごして落ち着けた後にまた少しじわじわと上げるしか出来ない。
高岡さんが2019年のように上げていき、マジかよと思ったが流石にそこそこ脚に来ているようでキレがなく、落としたところでカウンターを入れて集団を減らしにかかる。ここと、次の2コブ目の地味に長くてキツい坂である程度人数が減らせただろうか。有銘を下りカヌチャ方面へ。ここの下りで先行する高岡大前石井(確か)の3人と私の前2人と差が開いていき、ああこれはヤバいやつや、下手すると行ってしまうぞと思ったので下ったところで追いつくのに頑張ってかなり脚を使い瀕死の状態になってしまう。これ、確か2019年も似たようなことをやらかしたな…。この時点でもう羽地は千切れる予感しかしなかったが、ローテを回して走ってるうちに少し回復してきて思考もポジティブなものに戻ってきた。
いつも思うことだが、ツールドおきなわ市民200での最終盤はどんな選手でも相応に消耗し尽くしており、最後は精神力の強さが勝敗の大きなウエイトを占める。自分がこれだけキツいのだから相手も同等かさらにキツくなっているはず。最後まで諦めずにやれるだけやるしかないという気持ちに変わっていった。いよいよ最終盤の羽地へ。最初は様子見で入るとそれなりに回復しておりある程度は動けるようだ。これならいけるはずだとじわじわと上げて先頭に立ち番越トンネルへと向かう。
トンネルを越えてもうここで行くしかないと、キレはないがまたサドルから立ち上がって上げていくと徐々に後続が千切れ始めた模様。高岡さんがついに千切れているのを確認。ここはもう最大限の力で攻めるしかない。自分に喝を入れて上げていく。もうキレは全くなく、ボクシングの最終ラウンドでお互いヘナヘナのパンチを打ち合っている状態であるが、ついに大前君が千切れたようでGinrinの選手と2人に。攻め続けるべくサドルに座ったまま脚を回すと大前君は離れて行ったようだがGinrinの選手がかなり手強くて離れていきそうな気配がない。この選手のことを全く知らないし(大変失礼だが畝原君じゃなくて名前を聞いたことがある木村君だと思っていた)、スプリントがあるかとか全くわからん。全く分からんがどうやら彼との勝負になったのでここから様子を探ってみるしかないな…と思い込んでしまったのがこの日の最大の私のミス。後ろについて少し回復させ、登り返しのところなどで少しアタックしてみて様子をみたりしつつしていざ下りへ…というところで後ろから大前&石井コンビが飛んできて抜いていった…。
しまった、やってしまったと思った。
考えてみれば自分もキレのない削られた状態で何とか引き離した状態なのに、どうして2人の勝負だと思い込んで少し脚を緩めてしまったのだろうか。1人で抜け出していたら間違いなく踏み続けていたのだが。
よくプロのレースでスプリントのお見合いを始めた2〜3人が結局集団に追いつかれるシーンを見ると、試聴者側からすれば何をバカなことをやってるんだという気持ちにしかならないが、あれはレースをしている側からするともう残ってるやつとの勝負だと思い込んで追いつかれるパターンが頭から抜けてしまうんだろうなということがよくわかった。貴重な経験をしていい勉強になった(これが活かせるレースをすることがもうあるのかわからないが)。
なってしまったものは仕方ないので切り替えるしかない。しかし相手はどう考えても自分より圧倒的にスプリント力の勝る大前、石井。そしてこの時点では全くわからなかったGinrin畝原君。どうすべきかと考えつつ最後の直線へのコーナーを右折しようとしていたら…
高岡さんが後ろからかっ飛んできた。
これには本当に驚いたし、してやられたと思った。当然大前君は追わず、畝原君が追い、石井君が続いてその後ろにつける。
厳しそうだったら自分が行くしかないと思っていたが、徐々に追いついてきたのでそのまま何とか合流。まだダメ元のスプリントにするか、お見合いしてくれることに賭けてロングスプリントにしてみるか迷ったが、残り1kmぐらいで少し緩んだので意を決してロングスプリントへ。
しかし初速からもう集団を引き離すようなキレもなく、ただのリードアウト役となり、ラスト100mぐらいであえなく差されて終了。岩間選手も来ていたようで差されて5位。終わってしまった、勝てなかった…。終了直後はやられた感はあったものの、一方、若干イマイチだったなりに最後まで諦めずに粘って出し切った感もあり、まあまあ清々しい気持ちであった。あそこからかっ飛んできた高岡さんは流石だなとも本当に感心して、あういうレース勘的なものは全然及ばないなと感じていた。
しかし負けた時のいつも通り、時間が経つにつれてジワジワと悔しくなってきて、どうして抜け出した時に踏み続けなかったのかと後悔の念が強くなってきた。YouTubeのlive動画を見返しても、2人で抜け出して2つ目の東江原トンネルに入る辺りからは畝原君の後ろで回復させてようとしている自分が確認できる。もうこの時の自分をブン殴ってやりたいですよ…。
しばらくは後悔の念で悶々と過ごすことになりそうだが、一方でシーズン前半のダメダメっぷりからよくここまで持って来れたなと、夏以降は大崩れすることもなく基本的にはやることに集中してコンディションを上げていけたことは自分の中で評価したい。
アマチュアレースの最高峰と考えられるこのツールドおきなわと乗鞍ヒルクライムは、他のレースと一線を画すことの一つには、この2つには物語が存在するということだと思う。
ツールドおきなわ市民200(210)ではこの10年ほとんどの期間を高岡さんが王者として君臨し続け、それに挑み続ける挑戦者達という構図が存在していた。その挑戦者の筆頭としてマツケンさんや僭越ながら私が常にいて、力はあるが勝ちきれずに高岡さんの高い壁に阻まれ続けるという物語が見るものをまた楽しませていたのではないかと思う。2023年に遂に優勝することができた。これまで常に高岡さんの背中を追い続け、何とかその王朝を崩そうと踠いていたこの10年が本当に楽しかった。しかしその物語ももう終焉に近づいているということに寂しさを感じていた。強い若手が出現して負けても、もう高岡さんを追い続けていた時のようなモチベーションを保てる自信は全くなく、そのままフェードアウトしていくのだろうと感じていた。
しかし今年、強力な若手達が参戦し、RXが2枚看板として再び高い壁として立ちはだかったことで、私の挑戦者としての魂が再び呼び覚まされたのを感じている。正直、昨年ならば今までの取り組みだけで勝負できたと思うが、今年ツールドおきなわ市民200は新しい時代を迎えたと言っても差し支えないと思う。勝ちに行くならば新たな時代に向けてまた自分もアップデートしていかねばならない。やはり自分には、王者として君臨するよりも、それに挑み続けるチャレンジャーの方が気質的に合っているようだ。
一方で今のフィジカルを維持できるのもよくてあと2〜3年、いやもっと短い可能性の方が高いと思う。高岡さんのように息長く活躍したいとは思っているが自分にそれができる自信はない。残された時間の短さを自覚し、来年もう一度チャレンジャーとして頂点を奪りにいきたい。(完)




























