去る9/25(土)に兵庫県某所にてEverestingを行なったのでその記録を残しておこうと思います。

そもそもEverestingとはだが、簡単に説明すると坂を往復して獲得標高8848mを目指そうというチャレンジ。同じ坂を往復し続けなければいけないとか詳しいルールがあるので、興味がある方は
こちらのレッドブルのサイトを参照ください。
コロナ禍でレースがなくなったのをきっかけに世界中でトッププロを含めた多くのサイクリストの間で行われるようになった。
かくいう私も昨年頃からチャレンジしようとしていたのだが、練習中の落車事故による骨折があったため計画はいったん保留していた。しかし今年の夏頃にEverestingに最適で安全に行えそうな坂を発見したので、秋頃のチャレンジを目標としてぼちぼち練習を重ねていた。
オリンピック頃からまたコロナの感染状況が悪化したことによりツールドおきなわ、ニセコクラシックなどの目標レースがことごとく中止となったため、いよいよチャレンジを行うことになった。走りやすさのみを考えるならもう少し涼しくなった時期の10月中旬頃がベストと思われたが、この時点ではまだ全日本の開催が予定されていたのでその兼ね合いで、9月末のちょうど空いた時期に行うことに決めた。
今年の秋シーズンに向けて密かに建造していたマグロ弐号機もデビュー。リムブレーキで急坂の下りを繰り返すのはバーストなどの恐怖もあったので、バイクの完成も決行を決めた一因となった。
あとは重要な補給。ちょっと前に妻に相談したらサポートを快く引き受けてくれたのも本当にありがたかった。
坂自体は兵庫県某所にあり、その坂の序盤以降の1.57km,獲得156m の勾配10%程度の部分のセグメントを作り使用した。登り終盤に緩いカーブがある以外はほぼ直登であり、車通りも比較的少なく路面状況も良い。もちろん信号も民家もなく、正直なところ日本でエベレスティングを行う坂をみつけようとしたらここほど最適な場所を見つけるのは困難なぐらいと思う。
夏頃は暑さもあって5本登るだけでバテたり、腰が痛くなるレベルであったが、練習を重ねて10本、20本と登れるようになっていった。本番は57本登ることになる。
当初、ギアはロードレース用のままのフロント53-39+リア11-28を用いていたが、これで9時間ぐらい登り続けるのは困難だと思われたため、1ヶ月ほど前にとりあえず11-30のアルテグラカセットを導入。これで大分楽にはなったが、まだエベレスティングを完遂するには終盤でダメージが来そうだったのでフロント52-36を導入した(どちらも中古、というか弍号機自体がほぼ中古なのだが)。50-34入れてもよかったのだが、可能な限りはビッグギアの方が伝達効率的によいと思われたのと、チェーンの長さを変えなければならないのが面倒だったのもあって(というかそれがほとんど(^^;))そのままでいけそうな52-36を選択した。
ホイールは当初、弐号機の完成に合わせRovalをオーダーしていたのだが納期が遅れて間に合わなかったのでマツケンさんにIT55ホイールをお借りしていた。非常に良好な感謝だったが、さらに本番に向けては製作者のFJT氏より、より軽量なIT45ホイールをお借りすることになった。本当にありがたいことだ。
タイヤはクリンチャー最速と名高いミシュランpowerTTを導入してみた。単純なヒルクライムとダウンヒルの往復で路面状況もよいのでパンクなどのリスクもなくメリットも高いと思われたからだ。
その1週間ほど前に試しにレース装備でハーフエベレスティング(半分の獲得標高)にチャレンジ。
前日にzwiftでそれなりに強度が高かったからか苦戦することが予想された。
この時点では本番でもまずは自走で行くことを検討していたので、バックパックに空のボトル4本程度を積み自走で一番楽なルートで移動。登りの場所近くのコンビニで水や補給などを買って拠点で移動した。一番楽なルートを選択したが、それでも1時間半程度は要し、それなりに登ったので本番では車で移動した方がいいと思われた。
補給場所は時間の都合上、本番と異なるヒルクライムのスタート地点に置いてスタート(本番は登り頂上付近の空き地)。実はこの前回の1/3エベレスティングで補給食を放置しているとカラスに持っていかれることが判明したので(笑)、バックバックに入れて厳重に保管した。
この日はタイヤやホイールの効果もあってか、序盤は登り250-260wぐらいで楽にこなせていたが、終盤暑さ(日中は30℃以上になった)と、やはり前日の疲れが出てきたのか結構キツかった。
ハーフエベレスティングの結果は、4:18ほどだった。
これを踏まえて戦略としては、
・登りは240-50wぐらいで1往復のタイムが9:12程度になるのを目標に。HRが150台に乗るとキツさを感じてくるのでそこまで上がらないように調整する。休憩は2回、トータル10分ぐらいを予定。
・自走は少なからず消耗するので、前日に妻の実家(やや目的地まで近い)に宿泊させてもらい車で送ってもらうことになった。クソ婿の道楽のためにここまでしてくれて本当に感謝しかない。
・暑さ対策として氷を買い込み、妻が来てくれる中盤以降からアイスストッキングで積極的に冷却する。正直なところどのぐらい冷却できるかが終盤までダレずに走れるかの鍵となると感じていた。予報では当日は晴れで最高28℃程度と、この時期としてはやや涼しめだったのは助かったがそれでもまだ暑かった。
・ある程度疲労は回復させコンディションを整え、前日までにカーボローディングしておく。
・補給はベースとしては慣れた井村屋スポーツようかん。後は適宜気分転換にパンやおにぎりなど。水分補給は氷入りのミネラルウォーター、アミノバイタルの経口補水液、コーラを準備。
などを考えて当日を迎えた。
当日4:30頃に起床。前日仕事もあり夜に妻の実家に移動したので睡眠は十分ではないがぐっすりと眠れた。朝にパン、菓子パンなどを多めに摂取して義父に車で送ってもらう。せっかくの休日に朝早くから本当にありがたい。
到着して登り頂上近くの空き地に駐車し、ドリンク、補給などを準備。中盤以降は妻が来てくれるので補給食の受け渡しをしてもらえる予定だがそれまでは自分で止まってボトル交換などをする予定なのでカラスに奪われないようにしつつも取りやすいように配置。
スタート前に記念撮影してもらい、下って10分ぐらいアップして7:00過ぎた頃にスタートした。
まずは様子見で260-270wぐらいで淡々と。やはりこの時間だとかなり涼しくて気持ちが良い。
義父がまだ応援してくれていてとりあえず1本目…ん?タイムが良くない。
先週は270w近かったら登りタイムは7:10-15ぐらいだった筈だが7:30ぐらいかかっている。
逆風気味かのか?とか考えつつ下ると往復のタイムは目標の9:12ぐらいを下回って9:01ぐらいだがそれでも遅い。やはり先週なら8:50は切ってたぞとか思いながら2本目。少し出力を落としてみて260wで7:40ぐらい。うむ、遅い。下って9:07。3本目、登り258wで7:44、下って9:12…。
この辺りで確信に変わる。うむ、やってもうた、食い過ぎたと(笑)
先週体重が増えているのは確認していたが、前々日ぐらいからかなり食べて当日は思ったより💩が出なかったので嫌な予感はしていたが…。
後は気温が低いため遅くなってるのももちろん思ったけどそれでも遅い。これは目標をやや下方修正する必要があるなと感じつつもとりあえずキツくはないので現時点で遅れをとるのは嫌でとりあえず255-260wぐらいで淡々と周回を重ねる。
このペースだとおそらく中盤から厳しいだろうが、現時点ではこのぐらいの出力でも涼しいお陰かHRは常に130台を保っていて全くキツくはないので、PMの校正が少しズレている可能性や、気温が低いためであることにも期待する。
とりあえず10本ぐらい、1500mぐらいまでは問題なく淡々と経過。淡々と頂上近くまで登っていると何と丘の上からニコちゃん(仙人)が颯爽と登場した。何も言ってなかったし、stravaなどでも明日決行すると書いただけで時間なども明記してなかったので予想外の登場に思わず声が出た。
いや、予想外だからというより丘の上から突然バイクに跨って現れたその姿がオーラがありすぎてマジカッコよかった。
並走して登りで話しながら6-8本ぐらい(だったかな?)走ってくれたお陰でこの間のメンタル的な負荷は完全になくなり、一気に2500mぐらいまでワープしたようだった。少しボトルや補給の受け渡しもしてくれたのもありがたかった。彼は滋賀からここにくるまでかなり強度上げたりしてきたらしく(^^;)、帰りを心配しながら颯爽と帰路へとついた。ほんまにありがとう。

仙人より。
仙人が去ってからは妻が来るまでしばらく孤独な戦いが続く。
この辺りからやや尿意を感じ始めたのと、腰にやや張りを感じ始めたのもあり、一度休憩を入れておくかと3000mを越え20本を終えた次の登りで一旦ストップ。トイレを済ませ、座って腰を捻り臀部と腰部を軽くストレッチして補給のパンを持ってからさっさと再スタート。時間にして1分半ちょいだった。
腰の張りは消失しいい状態で淡々と走る。
気温が上昇し始め、暑さを感じるようになってきた。HRも140台に乗るようになり、若干のキツさを感じ始めるようになっていよいよ来たかとやや不安も感じた。
メンタル的な戦略としては、1本1本を集中するというよりは、無心でリラックスして淡々と登り、下り続け、「あれ?もう半分?ラッキー!」とか「え?もう6600m? 3/4も終わったの?あとちょっとしかないやん!」みたいな状態に持っていきたいと考えていた。
そしてこの辺りから嬉しいことが起こり始めた。暑さで水分が抜けてきたのと気温が上昇してきた影響によるものだと思うが、明らかに朝よりも出力比でタイムが良くなり、250w程度でも1往復が9:05ぐらいになっていた。
無事1/2を経過。獲得5000近くなりそろそろボトルの水も無くなってきたし一度止まって補給するかと考えていたところで妻と次男(1)が来てくれた。
これによってボトルを受け取り、またアイスストッキングを受け取り背中に入れることで冷却することが可能に。ストッキングは前のAACAの時の事件(笑)から、他の方にアドバイスを頂いて妻が買ってきてくれた台所用のストッキングネットを用いるようにしたが、これはなかなかよかった。というか気温も上昇して暑くなってきていたのでこの妻によるアイスストッキングのおかげで心拍数もやや下がり快適に走り続けることができた。
そしてやはり応援してくれる人がいるだけでメンタル的な負荷がだいぶ軽減する。本当にありがたいことだ。
一度妻が買い物のために1時間程度離れたがその間と淡々と登る。幸い、この日は晴れているものの日差しを遮ってくれる雲が出てきたのでそこまで苦しむような暑さを感じることはなかった。


6000mを超えた。妻も戻ってきてくれ、ほぼ1往復毎にアイスストッキングを受け取り背中に入れることで全く暑さは問題なくなっていた。補給も適宜スポーツようかん、塩おにぎり、コーラなども受け取って落ちることなく淡々と走ることができている。
先程のレッドブルのサイトによると、それなりに走り込んでいても6000mぐらいまでは走れるが、そこからは誰でもキツく、精神力の勝負になるとのことだった。マラソンでいうと「30kmの壁」といったところか。確かに、このエベレスティングはマラソンに似た感じだな、と走りながら思っていた。何というか、それなりの負荷を保ちながらも長いようで淡々と時が過ぎ、たまにキツさを感じながらも集中してやり過ごしていく感覚というか。これまでに3回ほどフルマラソンは走ったことがあるが、一度も「30kmの壁」は感じたことがなかった。そして今回も、6600m、3/4程度を終えたあたりで問題なく淡々と走れていることでこれはいよいよ勝ちゲームに入ったなと感じ始めていた。


もうほぼ完走したも同然だ。あとは事故のないよう、特に下りで集中して走るのみ。

体力的には余裕がある感じだったので残り3本ぐらいからやや上げる。中盤〜終盤はほぼ250w前後で走っていたが、ラスト3本はStravaによると260-260-271w、タイムもこの3本がこの日最速だった。タイムは休憩時間の1分半(笑)を入れてグロスタイムで8:38ほど。Garmin Edge530と920XTでダブルレコードとしてきたが、メインの530はここでストップさせた。
Strava上、あと念のため国土地理院での標高差の計算上はこの57本で8848m以上あるのだが、GarminのGPS計測上は獲得標高が低く出ているので、予定通りもう1往復予備で走っておくことにした。気をつけてゆっくりと下り、最後は220wぐらいでゆっくりと登る。ラストはみんなとハイタッチしてから頂上でフィニッシュ。


最初の雰囲気からして9時間切れるかどうか、ひょっとしたら終盤かなり苦しむことも予想されたが、全く苦しむことなくバテずに淡々と走り続けれたのは自分でも予想外だった。結果論として前日までかなり食べてエネルギーを蓄えといたのがよかったのだろうが、それ以上に応援してくれたみなさん、そしてサポートしてくれた妻のお陰だろう。最後までバテなかったのは間違いなく妻のアイスストッキングによる冷却のお陰だろうな。

そしてマツケンさん、最後まで応援ありがとうございました。マツケンさんが走ってるのを見るだけで嬉しくて励みになりました。また来年はレースで闘えるのを楽しみにしております。

終了後、家族で近くの温泉へ行き、ここで義父母とは別れて帰路へ。近くのお気に入りのイタリアンにて。


この日の休憩時間(笑)
次は10kやりますかって?いや、家族にも負担かかるしたぶんもうやりません(笑)