2024年12月5日木曜日

Hell of the Marianas 2024 レポート前編 〜ツールドおきなわ中止から〜

Hell of the Marianas(ヘルオブマリアナ)というサイパンで行われるレースに参加することになったのでそのレポートをお届けします。


まずはこのレースに参加することになった経緯について。

今年もほぼ、ツールドおきなわ(市民200km)のみに絞ってトレーニングを積み、これまでで1番良いと思われる仕上がりでレースを迎えることができた。しかしご存知の通り沖縄北部を襲った豪雨災害によりレースは不可能となりレースキャンセルに。

cyclowiredより

最後まで大会開催に向けて尽力していただいた大会主催者の方々には本当に感謝でしたが、自然のことなので仕方ないとはいえ、数ヶ月はおきなわに向けて全てを捧げて本気で準備してきたので、レースが無くなった虚無感は大きいものがあった。

レースキャンセル後、ホテルに戻り虚無った私

このレースに向けて本気になっていた多くの方もそうだと思うが、私にとってもツールドおきなわは非常に大きな存在で、40歳を迎え、おそらく競技者として自分の人生におけるトップレベルのコンディションを維持できるのも長くてあと数年ということを考えると、連覇の可能性のある1回を失ったのは非常に残念であった。

まあ過ぎたことを考えても仕方がなく、次に向かっていかねばならない。今シーズンが終わったのは事実なのでとりあえず、今はレース後にしたいと思っていたことをするかと家族と沖縄観光をして、好きな物を好きなだけ食べ、いつも通りの堕落したオフシーズンに突入していた。

そんな折、Xで見かけたサンブレイブ藤田君のポスト。サイパンで行われるヘルオブマリアナのレースがまだエントリーできるらしい。優勝賞金が出るようで1000$と。勝てれば旅費など全てペイバックされるのでは?

言うまでもなく$1000に目が眩んだ賤しい私です

このレースのことは、以前にcyclowiredでの中村龍太郎君のレポートや兼松さんのブログで知っていて面白そうだなとは思っていた。ツールドおきなわを100kmに凝縮したようなコースとのこと。ただ、自分が出ようと考えたことは全くもってなかったが。

何となく妻に、こんなレースがあるらしいと話してみたら、出てきたら?と。マジかよ。これだけ頑張ってやってきたのだからこのままいつもの堕落したシーズンに入るより行ってきた方がその後もうまくいくんちゃう?と。何て妻だ。

おきなわへ向けて己の極みまで鍛え上げたものの、解き放たれる場を失い途方に暮れていた我が肉体と精神が疼き始めた。

沖縄後数日ですでにジャンクフードにより蝕まれ、5kg増えた我が身体。お前はまだ戦れるのか?と、翌日から暴食はやめて再び身体との対話を始めた。トレーニングを再開したが浮腫みで身体が酷い状態になっており、数日でこんなに落ちるのかというほどパフォーマンスは低下していた。しかしお前との付き合いも長い私は知っている。この程度の短期間の不摂生なら比較的すぐに戻ることを。

うん、いつものペースです

まだレースに参加することを決めかねていたが、ありがたいことに職場でも快く送り出してくれそうで本当に感謝である。

問題は私自身の問題である。本気になれば十分身体は戻せる気はしたが、一度はオフシーズンに入って完全に途切れたモチベーションはなかなかすぐに戻せない。トレーニングへの集中力もおきなわ前ほどはなく、節制もできずにいた。おきなわに向けて集中してきたので当然ではあるのだが、あまりに走れない状態で色々準備してお金をかけて南国まで走りに行く意味はあるのだろうかと自問自答した。優勝賞金を当てにするとか取らぬ狸の皮算用としか言いようがないのでは?もう今年のおきなわは終わって戻ってこないのだ。素直にオフシーズンに入るべきなんじゃなかろうかと。それに加え、超絶物臭な私は色々と海外遠征の準備を整えるのがシンプルにめんどくさいなあと思っていた。パスポートも期限切れで取得しなければならないし、サイパンへの航空券を取得したりするのもやらねばならない…。準備するのめんどくさいし、今からまたしばらく集中し直してトレーニングするのしんどいし、やっぱ行くのやめようかなあと思い始めていた。

こんな状態で迷いながらもトレーニングをぼちぼち再開していたら少しずつ戻りつつあるのを感じていた。Xでこのレースのことをポストしたらcyclowiredの綾野さんからも連絡をいただき、色々と情報を教えていただいた。

どうしようか迷いながら2週間ほど経過し、とある平日朝のローラーのトレーニングでそれなりの数値が出て手応えを感じれたら行くことに決めた。結果は体重増のおかげとは言え、1時間値のベストを更新。もうやるしかない。

確かに、めんどくさがりな私はこの機会を失ったらほぼ間違いなく、一生サイパンでサイクリングをすることなんてないだろうなと思っていた。せっかく種々の都合がつけれて、運良く単独で南国へサイクリングに行けるという超贅沢な経験ができる機会を得たのだ。人生は一度しかなく、元気に自転車に乗れるのもあとどれぐらいあるかわからない。


決意してからは早速、物臭な私ではあるが重い腰を上げ種々の準備をし始めた。

まずはパスポートである。市のパスポートセンターへ行ったら出来上がってくるのは出発の前日であるとのこと。早めに来ておいてよかった(いやすでに全く早めではないのだが(^^;))。

今年も参加するというサンブレイブの藤田君からも連絡をもらい、色々チームでサポートできるとのことで本当にありがたかった。


昨年の藤田君や過去の兼松さんや龍太郎君のレポートを熟読すると、サイパンの道は荒れている上に、路面がかなり滑りやすく、雨が降るとさらに酷くなるっぽい。亜熱帯気候?の12月は乾季に入っているようだが、それでもしばしばスコールで大雨になったりするようである。

おきなわで決戦用に使用しているGP5000TTTR(28C)をそのまま使用するのはかなりリスクが高いと思われ、カーボンスポークのcadex ultra 50も飛行機輪行で壊れるリスクを考えるとあまり持っていきたくない。考えた結果スペアホイールで眠らせていたZIPP303にSTRをF28R30Cで運用してみることにした。

30Cは太い

トレーニングは寒くなってきた影響もあり、ローラーでベストを出してからはなかなかうまく行かなかった。暑いのは苦手だが嫌いではないが、寒いのは苦手な上に嫌いだ(すいません貧弱なだけです)。レースまで3回ほどある週末に200km超のロングライドを何度かこなして身体を絞りつつ調子を取り戻そうと計画していたが、体調が悪化したりと十分にこなせなかった。またいったんオフシーズンに入った影響で食欲を抑えることができず、練習量もこなせなかったため増えた体重を戻すことに苦しんだ。

こいつが美味し過ぎて止められませんでした

それでもこの時期としては例年ならば十分合格点と言える練習は積んである程度は維持できたし、最後にようやく体調と食欲を抑えることができるようになり、何とか+2kg程度にまで持ってくることができた。常夏のサイパン(平均28-30℃ぐらい?)の環境で走れるように、暖房MAX(30℃)でローラーでのヒートトレーニングを数回ほどこなしてある程度対応できるようなら試みた。


レース前日にパスポートを無事受け取り、直ちにG-CNMI ETAを申請。これはマリアナ諸島に入国する際に必要な無料の電子渡航認証なのだが、今年の12月1日から必要になったらしい(以前は機内で書類に記入するだけでいけたっぽい)。実はこいつが最大の懸念点で、手続きを済ませてないと入国できない可能性もあった。出発5日前までにせよと書いてあるのに2週間ほど前に気付き、パスポートがないため前日まで入力できないことが判明。これは詰んだかもしれんと相当焦ったが、調べてみると、もしこっちがダメでもESTAで入国することができ、ESTAはどうやらほとんどの場合申請して数時間以内には承認されるとのこと。まあ、何とかなるやろといつもの如く楽観的に過ごし、パスポート受け取り後直ちにG-CNMI ETAに申請してみたところ10分程度でステータスがapprovedになっており一安心した。



無事認証されて一安心した

もう一つの懸念事項は、シーコンでの輪行で重量がオーバーしないかということだった。どうやらサイパンまでのUnited航空は23kgまでなら無料で預けれるようだが、先日の沖縄への遠征の際は万全を期すために予備の機材や食べ物などを大量に持参したため40kgを超えていた(^^;) 今回は万一トラブったら現地で何とかするつもりで衣類なども最小限に抑えた。出発当日朝に梱包して体重計に乗った限りで大丈夫そうだった。

木曜に伊丹から成田へ向かった。何故かANAで1番安かったのがプレミアムシートだったので初めてだったのだが、たった1時間程度のフライトで機内食が出てきたので感動した(持ち帰りできてサイパンへのフライト中で食べたがかなり美味しかった)。


ドライカレーなどが入っており美味しかった

成田で無事バイクを預け(重量とか全く検査されなかった気が…)、入国審査もトラブルなく進んだ。サンブレイブの皆さんとも合流でき、無事サイパンへと飛んだ。

無事出国

1ヶ月前の自分に「お前それだけ頑張って練習してきたけど今年のおきなわ中止になって、1ヶ月後にはサイパンでレースすることになってるで」と伝えれたとしても信じてもらえなかっただろう。人生とは面白いものだな、と考えながらサイパンへのフライトでこのレポートを書いた。さて、サイパンではどんなドラマが待ち受けているだろうか。