前編より〜〜
11周目の補給所でついに勝利をかけた戦いが勃発した。
ブリジストンの選手(石橋選手だったらしい)のアタックをきっかけに、ブリッツェンの選手がそれを追いかける。かなり強烈だがついていけないほどではない。たぶんプロとはいえ暑さでやられていたんだろう。戦いがいつ起こっても対応できるように、極力この補給所の上りで前方で走るようにしていたのもよかった。とはいえ、かなりキツく、ここが勝負だと言い聞かせて必死で食らいついて何とか頂上まで。
photo by 岡元 恒治さん この後のレース写真も全て岡元さん撮影によるものです。ありがとうございます!
Stravaで確認するとこの補給所の上りで3:14 375wだったらしい。
後ろをチラ見したところ、たぶんこの時点では10人ぐらい?その後の緩い上り(2:10 314w)で何人か合流して17人になったらしい(詳細不明)。この日本最高峰のレースのトップの戦いに生き残れたことに興奮するが、この後も戦いがしばらく続くことが予想され不安になりつつ、フルームのエアロポジョンで下っていく。そういえば、今回の下りではかなり多くの選手がこのトップチューブ乗りのダウンヒルフォームを採用してたな。レース中にもこれと、一般的なダウンヒルフォームでどちらが速いのか実験してたけど、あまり差はないか、わずかにフルームポジョンの方が速いか。下りで心拍を落ち着かせると共に可能な限り最高速で登り区間に突入し、上りで使うパワーのセーブを図る。奥の牧場へ向かう下りの前のこの上りを何とかやり過ごし、いよいよ牧場の激坂へ。
ここも可能な限りスピードを乗せた状態で突入するが、案の定ここでも人数を減らすべく激しい戦いが勃発。もう脚は逝きかけているが何とか必死でついて行き(1:01 420w)下りへ。ひょっとしたらほぼ千切れて何とか下りが始まるまでの短い区間で追いついたんだったかもしれない。とにかく首の皮一枚で繋がった。この時点でさらにリストラが進んでいた気もするが覚えていない。
下って反対側の平坦路へ。とにかく脚の回復に努めなければ。適宜ローテーションはこなしつつも早めに交代してもらう。まあこの場面なら流石にプロに多めに牽いてもらってもいいだろう。後半にかけて2人(確かブリッツェン2人)が抜け出す形となり、それに合流して3人に(4人だったかも)。うお、マジか。このトップの争いの場面でさらに先頭の3人に加われるとは。ひょっとするとこれはマジでワンチャンある(勝てるとは思ってない)のか。とか思ってたら、流石に後ろから合流してきてスタート/フィニッシュ地点では集団に。
そして12周目の上りへ。前方で登り始めるが、下から誰かプロ(小石選手だったらしい)がキレのいいアタックで上げていった。もうムリ。流石プロ。ズルズル抜かれていき、完全に千切れてしまいそうだった。
視界に、プロを諦めず追いかけていく高岡さんの姿が入った。
正直、ここまで来れたことにかなり満足していた。開始30分も持たずに千切れて足きりされて終了となる覚悟もしていた。妻と、もしそうなったら速攻帰路について広島観光でもして広島焼きでも食べて帰るかとか話していたほどだ。しかし逃げ集団にのり、前方で展開してかなりテレビに映ることができた(たぶん)。きっとテレビの前で全国のホビーレーサーが我々の奮闘に、去年わたしが森本さんの走りに刺激を受けたように、興奮して見てくれたはずだ。終盤の勝負所でトップ選手達の戦いに生き残ることができた。いや、これはもうよくやっただろうと。
身体が反応した。まだ終わっちゃいない。これはツール・ド・おきなわではない。だけどここで食い下がったら、今までと何も変わらない。高岡さんは強い。今日もプロ相手積極的に先頭に出て集団を牽引していた。その姿に勇気をもらって私もまた自分のペースで走れた。だけど、負けたくない。
サドルから腰を上げ、少しずつ差を詰めていった。妻の待つ、補給所の最後尾には追いつくことができた。妻に、「次に」と伝えて数人(たぶん4人)で最初の上りを越えた(3:34 327w)。
平坦路に入ってすぐの上りでも高岡さんの牽引が多い。強い。この場面で勝負を決定的なものにしようとしているのか。ただ、流石に全員へばっておりペースは上がらない。長い下りを経て奥手前の上りに向かう時には後ろから何人か合流していた。
おそらく写真から判断するに、ここで残っていた選手は高岡さん、平塚選手、鈴木龍選手、阿曽選手、下島選手、吉田隼人選手、私の7名。
下りを経て牧場の激坂へ。ここで上げられたら死ぬなと思っていたが流石に皆ヘバっていたらしく、特に動きはなく越えた(1:22 317w)。よかった…。
この周は動きはなく、ペースで進み、13周目へ。(この辺りの記憶が曖昧なので、順序が違うかもしれません。)最初の上りもペースで淡々と進む(4:06 286w)。
何となく、やや自分は回復してきた感がある。どこかのチームスタッフが、「前から切れて落ちてくるやついるから諦めるな」と言っている声が聞こえた。そうこうしているとブリッツェンの誰か(小野寺選手だと後で確認)が落ちてきた。真の頂上決戦に敗れて散ったのだ。敬意をもってパスすると、奥の上りで集団内のブリッツェンの選手(鈴木龍選手)が上げていった。現状でチームで可能な限り上位をとるには行くしかないのだろう。やや置いてかれたが、先頭で走っていたお陰で徐々に差を詰めこれにつくことができ、あともう1人と3人に。高岡さんはいない。ついに勝てるか?
奥の上り降りを経て牧場の激坂へ。しかしここを速いペースで登ることはできず、あえなく後ろと合流(1:18 323w)。下って平坦路へ。
ペースで進む。モトが先頭との差を教えてくれる。先頭2名 2:30 追走4名 40 とか書いたてあったのだが、気になっていた後ろとの差がわからない。だいぶ前に3:50差でその時詰まってきていたので、下手すると追いつかれるんちゃうかと恐れていた。
淡々と進んで14周目へ。残り2周。前方でペースを落とし過ぎないように走る。
妻の姿を確認し、最後のボトルを受け取った。
Aisanの阿曽選手(たぶん)の後ろで走っていたが、キツめだが無理のない範囲のちょうどいいペースだ(3:50 311w)。
上り下りを経て奥の牧場の激坂へ。
またスピードに乗せて先頭で突入するも、脚が動かない。誰かが上げていき、高岡さんもついていくが私の脚は動かない。千切れた。しかし上り切ったところでペースが緩んでおり、下りに入る手前で何とかほぼ追いついた。また首の皮一枚で繋がった(1:13 376w)。
下って平坦路を淡々と走りいよいよ最終回、15周目へ。また先頭で自分の無理のないハイペースで走る。妻にもう大丈夫と伝え、頂上までいくと後ろが切れている(3:58 300w)。
ダミアン選手メインですが…
これはひょっとするといけるのか?長い下りを脚を使わずフルームポジションで下り、スピードに乗せて奥の上りに入ると、シマノとキナンの選手が飛んできて全くつくことができない。シマノ(入部選手)なんかさっき集団にいたかな…とか思いつつ、無理のないように上り、また頂上決戦から落ちてきたんだろうブリジストン石橋選手をかわして牧場激坂への下りへ。
下ってスピードに乗せて、無理のないように上る(1:25 316w)。かなり後ろが気になるがまだ大丈夫そう。上りきって牧場前の道に出て、また下り口へ。
後ろを確認すると数名が追ってきてて高岡さんの姿も見える。
これはやばいか?しかしいくしかない。
このような状況だが、牧場からの下りは攻め過ぎないように。ここまできて攻め過ぎて落車するのだけは避けたいと美山のことが頭をよぎる。
最後の平坦路へ。
踏まないように、いつも意識しているフランドル2016のサガンの独走ペダリングをイメージしてクルクルと回す。ちょくちょく後ろを確認するが、姿は見えないか、たまに見えても詰まっている様子はない。無理せずこのまま進もう。
むしろ前方にキナンの選手の姿が見えて、どちらかというと詰まっている気がする。ひょっとするとジョインできるかもという希望を抱きつつ、可能な限りペースを上げていく。平坦路終盤にある短めの緩い上り2つを、これがラスト2、これがいよいよラストと思いながら踏ん張って越え、ついにフィニッシュ地点の直線へ(7:40 262w)。
何度か後ろを振り返る。来ていないようだ。前は捉えることが出来なかったが、ついに高岡さんに勝ったらしい。そしてたぶん一桁順位か?信じられない思いで声援に応えてフィニッシュ。
しばらく茫然と流してから、妻と合流。
妻は今までで1番充実した表情だったと言ってくれた。確かにこの上ない充実感だ。まさかこの日本最高峰のレースでこんな走りができるとは。
しばらくして8位だったことが判明。
8位だからって日本で8番目に速いということではまったくないことはわかっている。今回のレースでもチームのエースのために討ち死にしていった猛者達がたくさんいた。展開に恵まれず泣いたプロが多かったに違いない。
しかし、いくらこの上なく展開に恵まれ、蒸し暑い気候も味方して自分より強い選手が沈んでいったお陰とはいえ、割と序盤から前方で展開して積極的に先頭で走り、終盤の最初のバトルに生き残り、その後敗れ去ったものの粘り、それまでロードで一度も勝てていなかったライバルに勝つことができた。間違いなく、今までのボートからトライアスロンも含めて競技人生でベストレースだった。
高岡さんには感謝しかない。序盤から積極的に前を走り、プロと話して自分からレースをコントロールしようとする姿に勇気をもらって自分も走ることができ、終盤のバトルに敗れ去ってからも、第2のホビーレーサー決戦(?)として負けられないという気持ちでレースをすることができた。強かった。実際一度自分も千切れた訳だし、どちらが勝っても(この戦いに)おかしくなかった。ただタイミングの問題だっただけだと思う。またこんな戦いが出来るのを楽しみにぼちぼち続けていこうと思う。
そしてこの日最大の功労者は間違いなく妻だ。この補給がなかったら間違いなく序盤で死んでた。
この蒸し暑い気候の中、テントもなく、1人娘を抱いて会場との間を行き来しつつ、暴れる娘の面倒を見ながらボトルの手渡しをしてくれた。
その様子がわかるこの写真を見ていただきたい。
注目して欲しいのは男前のMONIER Damien選手ではない。右後ろの草むらに着目してほしい。ボトル補給の間に、抱いてるばかりでは暴れる娘を草むらに放ち、遊ばせているのだ。この暑い中をずっと。不憫に思ったキナンの方が、テントの中にどうですかと誘ってくれたらしい。
どこかのチームが、クーラボックスの温度管理まで徹底していると話していたらしい。
我がチームはクーラボックスさえ持ってきてなかったが、少しでも冷たいものをと、終盤には冷たいペットボトルを買いに会場と往復してくれたらしい。しかし設備は不十分だったが、苦しい時に誰からボトルを貰うのが1番力になるのか。その点で考えた時に、我がチーム(選手1人+サポーター2人)は人数こそ少ないが最強だった。
ただ、来年以降も出ることがあるなら、いくら単騎参戦とはいえ、テントとクーラボックスはマストだ。そして息子を連れて行ってたらと思うとゾッとする…。
この日は播磨の「かかしの里」に連れていってもらったらしい。本当に妻の両親に感謝です。預かってもらってなかったらは 間違いなく妻の十分なサポートが、得られなかっただろう(笑)
GOKISOブースに行ったら森本さんがいて、写真を撮ってもらいました。
そして山神様と。
帰りに石見のSAでソフトクリームにて乾杯。美味すぎた。
ずっと暑い中拘束されていい迷惑だったに違いない娘をしばし解放させる。
翌日、仕事から帰ってくると何とこんなケーキを用意してくれていてプチ祝勝会。
何故かハッピーバースデーを歌って息子がローソクの火を消した。まあ何でも嬉しいもんだ。ありがとう。
とりあえずしばらくオフにはいります。
あ、元々仕事の関係上厳しいと思っていたのでニセコにはエントリーもしていなかったのですが、何やらUCIポイントを獲得したらしくそもそも出場できないらしいです。
確かに10points獲得しておる…。
噂によるとUCIポイント保持者は非アマチュアという扱いになるらしいです。
JPTでも走ってない純粋ホビーレーサー(?)なハズですが、UCI公認で非アマチュアと認定されたらしいです。私は何者なのでしょうか…。
最強ホビーレーサー(非アマチュア含む)6人のロードバイクトレーニングも引続きよろしくお願い申し上げます。
密かに、今回のレースを題材にしてエスケープ/アタックの続編が出るのではないかと期待しており、図々しくも出演できるのではないかと目論んでいます。
おきなわも期待してます、との声をたくさん頂いたのですが、今年の秋は厳しいかもしれません。レースどころじゃなくなってたらごめんなさい。でも今回の熱い戦いの興奮は忘れません。今年ダメだったとしてもまた必ず戻ってきますので。